網膜剥離の多様性と治療法(2)

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【網膜剥離の多様なタイプ】
 さて、今日お話したいことは、一概に網膜剥離といいましても、いろいろなタイプがあることです。
裂孔の数が一つのものから、何個もあるタイプとか、裂孔の大きさによっても治療法が変わってきます。その位置によっても変わります。周辺部にある場合はバックリングがよかったり、後極部に近い場合は硝子体手術がよかったりというように場所によっても変わります。

 剥離の場所が上であったり、下であったり、原局性であったり、ほとんど剥がれてしまっている場合などによっても治療の方針は変わります。 またその原因が、外傷性とか、遺伝性によるものであっても変わります。殆どは老化とともに馬蹄形裂孔のできる特発性のものが多いのですが。網膜剥離が発症して時間があまり経っていない場合は容易に治せますが、時間が経っている場合はかなり難しくなります。

 裂孔の数と大きさは先程いいましたように、大きいものの場合と、同じ眼の反対側に小さいものがあったりする場合は、バックリングよりは硝子体手術を選択します。網膜円孔など小さいものに比べて、円孔が大きな場合は硝子体手術のほうが治療が確実です。大きな円孔をスポンジでも覆いきれない場合など、バツクリングではむずかしいのです。

 この写真のように視神経、黄斑などから、離れた部分に剥離があったり、裂孔が周辺部にある場合は、強膜内陥術で治すことが多いです。反対に裂孔が視神経乳頭にごく近い場合はバックリングでは難しく硝子体手術になります。また裂孔が小さくても、後極部にある時は硝子体手術となります。黄斑だけに円孔があって、剥がれたタイプでも、まず硝子体手術を選択します。

 これは術後の写真ですが、この方は高度近視があって黄斑が萎縮して視力もなかなか出難くかったのですが、硝子体手術で網膜が復位すると、視力も出ました。

 黄斑円孔網膜剥離のタイプで、ここに剥がれている範囲がありますが、硝子体が網膜から剥がれる途中に周辺部の網膜を引っ張って裂孔を作るのではなく、黄斑そのものを引っ張って黄斑の中心に裂孔を作ってしまったというタイプです。この場合も手術で硝子体を剥がしてやると、網膜を引っ張る力が消えるので、剥離した網膜は元に戻ります。

 剥離の範囲が限局性のものでなく、広範囲なもの、網膜全剥離の状態で、裂孔がどこにあるかもわからないといった状態では、やはり硝子体手術を選びます。裂孔がどこにあるか、網膜のほうから直接見つけ出せないと確実に治すことができないからです。

 網膜剥離の原因の一つとして外傷性があります。
この方は喧嘩をして殴られて、眼球打撲されました。ここに出血があり、上の方に網膜剥離がありました。一見、たいした剥がれ方ではないようですが、鋸状縁断裂といって網膜の一番端が剥がれた形でした。このような時、普通は硝子体手術の選択が多いのですが、患者さんは二十歳そこそこの若い人で、硝子体が眼球内に満ちているという元気な状態でしたので、内陥術を選び、上のほうにバックルを当てて外側から押しつけることで、網膜の復位ができました。

 またもう一つ眼外傷の症例がありま。この患者さんは草刈り機で作業中に何か眼に飛び込んだということで来院されました。調べると角膜が切れて水晶体も白く濁っているところから、何かが入ったということはわかりました。眼底を見ますと、全体ぼんやりしていてはっきりしません。この場合、まず白内障手術をしてみますと、草刈り機の鉄の破片が入っているのがわかりました。硝子体を切除して、磁石でその鉄片を吸いつけて取りました。運よく黄斑の近くでなかったので、網膜裂孔はレーザー光凝固で固めました。この後眼内レンズを入れて手術を終わり、視力も回復しました。経過も良好です。

 遺伝性の網膜剥離で、右は全部剥がれ、左も一部が剥がれている方がありました。家族の方を調べたところ、お母さんや他の家族にも白内障と網膜剥離を合併した遺伝性の症状があることが診断されました。実際の手術は右は硝子体手術、左は強膜内陥術を行い、両方とも復位することができました。

 次に発症してから時間が経つと網膜の状態が変わってくるということについてお話します。
上のほうから剥がれてきた場合は、視野が下の方から暗くなり、すぐ気がついて来院されますので、診断も早く、手術もすぐしますので、よい結果が得られます。

 また黄斑が剥がれてきた時も視力が下がってくるので気がついて来院されます。こういうときはすぐ手術すればよく、治りも早いのです。下のほうから剥がれてきたときは視野は上から暗くなります。その場合は、重力の関係でゆっくり剥がれてくるので、自覚症状が乏しい場合もあり、黄斑まで剥がれてきたときは、網膜の雛のようなものまで出来てかなり時間が経っている場合があります。

 この方は時間が経って周りが剥がれてきて嚴ができ、古い網膜剥離のほかに脈絡膜剥離まで起こしていました。この場合硝子体手術で復位ができました。

 一方、一回手術されてその後網膜剥離がまた起きた方で、網膜に白い膜のようなものとか、網膜が縮まって固くなって壁のようになつている、黄斑も折れ固まっているという重症な網膜剥離の再発が見られました。この方は二度の手術は嫌だというので、復位はできませんでした。残念でした。

 上のほうからの網膜剥離でわりと早い自覚症状があったのですが、黄斑円孔も伴なっているという方がありました。上の方に孔があるのですが、これは術後十日目の写真です。まだガスが残っていますし、本来の裂孔はここにありまして、網膜の裏の水を吸い取るための小さな孔をわざとあけてあります。下のほうのには、鋸状縁で格子状変性の部分がありましたので、周りをレーザー光凝固をして剥がれてこないように治療してあります。その後の写真では、黄斑円孔も剥がれずに、網膜もきれいに治っていると思います。

 動画で手術の様子を示します。
まず自内障手術をしまして、水晶体を取り除きます。次に硝子体手術で特殊なレンズで眼の中を覗きますが、その時左側から特殊な照明で照らして、硝子体カッターで硝子体を切り取っていきます。網膜を牽引している硝子体の力をこれで取り除くことができました。上側に裂孔があり、そこから剥がれているが、下側は無事でした。

 しかし黄斑にも穴が開いているという状態でした。これ以上網膜がひっぱっられないように硝子体をきれいに取り除きました。

 この写真ではレーザi光凝固した後が白く残っています。黄斑円孔は孔が塞がりやすくするために網膜の一番内側の内境界膜を剥がします。その時膜が透明で見にくいので、緑の色素を振りかけて薄い膜の存在をはっきりさせ、剥がしやすくします。黄斑円孔がはっきり見えます。これでガスを入れると孔が塞がります。網膜の裏側の水を出すために別に小さい孔を開けます。ガスが入ってくると網膜内の水が吸い出されていきます。

 後は上の裂孔をレーザー凝固します。その跡が白くみえます。最後に眼内レンズを入れて手術は終了します。眼内レンズは折りたたんだアクリル製です。

 今回、網膜剥離にもいろいろタイプがあって、その種類で治療法が変わってくるというお話をしました。自分の網膜剥離はどのタイプで、どんな治療をされたか、分かっていただけたらと思います。

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