2016年総会「グループデスカッション」2

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【眼科の専門分野】
 大学の眼科の先生の中で、網膜剥離を専門にしていない他の分野の先生は、どの程度網膜剥離のことをわかっているのでしょう。
 今の大学の制度は、おそらく取りあえず全部、ある程度診られるようになって、それから自分の専門を決めていくのでしょうが、東京都内は大学が13ありますから、大学によって特徴があります。

 私がいた東邦大学では網膜剥離の専門の先生と、白内障とレーザーの専門の先生が二人トップでいたので、私はその三つを専門でやりたいと思って入りましたから、そこはしっかりやりましたが、他の分野は苦手です。自分のところに苦手な分野の患者さんが来ると、他に診られる先生がいるのでお願いします。

 網膜剥離、眼底疾患、白内障は責任を持って診させてもらいます。ですから専門だけをやっていけるのですが、中には自分で全部やらなければいけない先生もいます。眼科は狭い範囲ですが、それぞれ専門があるので、自分の専門じゃない患者さんを、いかに専門の先生に送れるかということが大事だと私は思います。

 全部自分で抱え込んで、様子だけを見ている先生が一番困ります。様子を見ているうちに、悪くなって紹介しましょうというのを見ると、もっと早く紹介できたのではという先生もいます。歳で決めてはいけないのですが、硝子体手術が無い時代から眼科をやっている先生は、網膜剥離の周辺部に弱いところを見つけるのが上手じゃないかもしれません。

 網膜剥離専門医としては、硝子体手術を簡単にやって欲しくはありません。昔は、網膜剥離の手術は、治りにくい時期もありました。もう少し早く私達が診ていれば、こんなに苦労しないで済んだのにという患者さんをたくさん見ています。

 網膜剥離手術の手技は凄いので、網膜剥離にのめり込んでいく先生と、少しやってめんどうくさそうなので辞めて行く先生もいます。今は器械も良くなって、診断も早くなってきたので、難しい症例は、確かに少なくなっています。簡単な症例は、余り経験が無い先生でも、ある程度の確率で治りますが、難しい症例をいかに治していくかというのが問題です。

 よく「白内障手術は簡単だから3〜5分で出来るでしょう」という患者さんが来ますが、それはテレビに出てくる特殊な先生の話で、私達は「3〜5分でやるよりも、丁寧に時間を掛けてやります」と話してやりますが、硝子体手術も最近は適応が拡がって、硝子体手術しなくてもいいような症例でも、手術する先生も増えてきています。
【後発白内障レーザーの再適応】
 50才のときに網膜裂孔をレーザーで治しました。その後硝子体出血を起こしましたが、どうにか治まりました。10年後白内障手術をして、その後に後発白内障でレーザーをしました。しかし今はまた見えなくなって来たのですが、またレーザーをするのか、手術をするのか教えてください。
 見えない原因が何なのか、お話しを聞くと、裂孔だけで、黄斑部は剥がれていないので、黄斑前膜という物を見る中心部に、薄い膜が張っているかもしれません。あるいは加齢黄斑変性が始まっているかもしれません。これは診てみないと何とも言えません。

 もし又、後発白内障で濁ってきているのであれば、レーザーをやりますが、中心に光が通る道ができているのであれば、レーザーをやっても効き目はありません。中心に濁りが無ければ、レーザー適応の必要がありません。
【バックリング手術後の再剥離】
 バックリング手術で治したところのほかに、網膜剥離ができたときに、またシリコンを当ててバックリング手術は、何ヶ所もできるのでしょうか。
 網膜剥離をやって、バックリング手術で治して、他のところが開いたということで、バックリングで治るのであれば、もう一か所バックリングということはやっています。ただ最初から弱いというのがわかっていれば、輪状締結と言って、全体に縛るという形の手術をすることもあります。部分的な裂孔だけであれば、何回かやることもあります。

 1回目のところが治っているという前提ですが、1回目のところが治っていなければ、外して置き換えるという形になります。

 あるいは硝子体手術ということになります。バックルは出てこなければ一生付けて置くのですが、次の孔を治すために邪魔をするのであれば取って、部分的なバックルを幾つも作らず、輪状締結という術式を選択することもあります。

 ただ色々なところに裂孔が開いてくるようであれば、最近は硝子体手術をするほうが多くなってきました。ほとんどはバックリング手術で孔が閉じてしまえば、後からバックリングを取ってもまず大丈夫です。
【黄斑前膜手術中の合併症】
 黄斑前膜を取る硝子体手術をやった場合、俯せで何日間というのは無いのでしょうか。
 普通の黄斑前膜では無いです。ただある程度の確率で、硝子体手術には網膜の破れ目ができる可能性があるので、手術の前には必ず、もし裂孔ができたり、網膜剥離が起こったりした場合には、空気を入れるかもしれないという話を、聞いて手術を受けると思います。

 確率的には非常に少ないですが、硝子体手術の途中に周辺部に孔が開く方、元から弱い方、赤道変性症の方は手術中そこに孔が開く方がたまにいますので、空気を入れて2〜3日下を向いてくださいという方はいます。レーザーをやっている方は術中に剥離は起こりにくいです。
【緑内障の手術】
 現在77才で、元々強度近視なのですが、50才過ぎから緑内障がわかり、それから右眼はほとんどダメで、左眼で生活しています。眼圧は安定していたのですが、最近眼圧が20を超えることがあり、今は薬を増やしています。緑内障の手術は効果があるのでしょうか。
 高眼圧であるならば、積極的に手術を受けてもいいと思います。今左眼の視野が狭くなっている状態で、色々な薬を使っても眼圧が20mmHgを超えるのであれば、飲み薬もあるのですが、あまり長く飲む薬ではないので、次に考えるのは、眼圧を下げる緑内障の手
術になります。

 緑内障の手術も色々なやり方が出てきています。簡単に言うと、眼の中の水を、眼の外に導き出す流れを作る手術です。傷つけて孔を開けて、眼の中の水が結膜、白目の裏に漏れるようにしていても、人間の体の治癒力で孔が塞がってしまうと、また眼圧が上がります。

 塞がらないように色々な薬を使ったり、術後に処置を加えたりするのですが、それでも時間が経つと、眼圧が上がってくる人もいるので、そういう方は2回3回と手術をします。

 最近の新しい手術は、眼の中にシャントチューブという眼の中の水を導き出すステンレスの孔を、眼に埋め込みます。またシリコンのチューブを眼に埋め込むインプラント手術も出てきています。視野が狭くなり、眼圧が高い状態続くようなら手術は考えてもいいと思います。

 緑内障手術は視力を上げる手術では無く、高い眼圧を下げる手術なので、色々合併症が付いて回り、眼圧が下がり過ぎても見にくくなり、丁度いい眼圧にするのが一番大変です。術後の追加処置も色々必要になってきますが、それでも5年10後には、差が出てくると思います。

 眼圧を下げたら必ず進行が止まるわけでは無いのが緑内障です。ただ高い眼圧を低い眼圧にすれば、止めることはできませんが、進行はゆっくりになります。(会報252号から転載)
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