「知っているようで知らない緑内障」 2

ホーム お知らせ 何って? Q&A 講演録 協力医訪問

【 緑内障といわれたら(検査編)】
 では、緑内障と診断された場合はどんな検査、治療が行われるのでしょうか?

 まず通常の診察のように、いつからどのような症状があったのか? その他のご病気が無いのか? 緑内障の治療薬には、喘息や重篤な心臓疾患をお持ちの方に使用できないものもあります。また、遺伝性もあるので家族歴の有無を聞くことは大切です。

 次に視力、屈折検査ですが、近視は緑内障のリスクファクターですし、近視性眼底と緑内障の眼底変化の鑑別が、難しいところもあります。最近では近眼のレーザー治療を受けておられる方も多く、一見ではわからないので、お聞きしないと屈折度数と眼底の所見が一致せず、悩むこともあります。

 その次にどのような緑内障(開放隅角なのか閉塞隅角なのか、原発なのか続発なのか)を診察します。続発ではまず、現疾患の治療が必要ですし、閉塞隅角では隅角の閉塞を解除しただけで、緑内障でなくなることもあります。病型の診断には主に細隙灯顕微鏡検査、眼圧検査、隅角検査によって行われます。
【眼圧】
 日本人の正常眼圧は10〜21mmHgですが、もともと眼圧が正常な緑内障や進行した緑内障では12mmHg以下にコントロールすることが望ましいとされています。眼圧は短時間で計測できるため、毎回測定され、治療の指標となります。

 また、非接触型で噴射した空気を目に当て、角膜がどの程度変形するかで、目の硬さを測定します。これは皆さんも眼科を受診された時に、受けておられる検査だと思います。

 これは目にチップを当てて、チップの押している力が同じになったところを一致させることで眼圧を測定する器械です。精密な眼圧は、これによって測定することになります。
【細隙灯顕微鏡検査】
 次に細隙灯顕微鏡検査です。角膜、虹彩に線状の光を当てることで、角膜、前房の深さ、炎症の有無、虹彩の状態、白内障の有無などいろいろな情報を得ることで、どのような緑内障かということを判断することができます。

 ・斜めから光を当てて隅角の広さを推測します。

 ・角膜と虹彩に当たった光に、離れていれば開放隅角かな? と思われますし、ほとんどくっ付きそうになっていれば、閉塞かもしれないと考えます。

 ・角膜の後ろに、白いブツブツがついていれば炎症、ぶどう膜炎の関与を考え、このように虹彩に太い血管があれば、糖尿病などの網膜虚血を疑います。

 ・白内障がひどくなって水晶体が溶けてくれば、水晶体起因性緑内障を起こしてきます。

 細隙灯顕微鏡検査は診断がついた後にも、目薬による副作用で傷ができていないか、結膜炎はないか、他の病気は起こってきていないかと、毎回確認することになります。
【開放隅角か閉塞隅角か】
 開放か閉塞かの診断は、細隙灯顕微鏡検査である程度はわかりますが、確定診断は隅角検査にて行います。隅角検査は、目の硬さを調整している房水が排出される隅角というところを観察する検査です。点眼麻酔して、どろっとしたゼリーのようなもので、レンズを目に接着させて観察します。大体1〜2分で終わりますが、少し気持ち悪いです。検査後はすぐにレンズは外し、ゼリーは洗い流します。

 隅角の広さや新生血管の有無、癒着の有無を見ます。
この写真では目をぶつけた怪我で、隅角が裂けている様子がよくわかります。これらのことから、その方の眼圧上昇が何から起こっているのか病型を診断します。
【進行による病期判定】
 次にどれだけ進行しているかの病期判定です。最初にお話ししたように、緑内障は眼と脳をつなぐ視神経線維が障害される病気です。これは初期の方の右目の写真ですが、視神経の出口であるのところを見ると神経線維が切れてしまっていることが観察され、それに一致した場所に見にくいところができています。

 ここには出血がありますが、これは正常眼圧緑内障の方によく見られる所見です。このことからも正常眼圧緑内障に眼圧以外の血の流れなどが関与することが示唆されます。

 そして、どんどん緑内障が進行すると、視神経の窪みが大きくなり、視野障害が進行してきます。この乳頭の観察は普段、皆さんが受けられている眼底検査と同じものです。
【視野検査】
 視野検査はこのような機械で行います。ドーム状のところに顔をおいてドームに光を当て、それが見えたらボタンを押して合図してもらうという方法で、片目ずつ見える範囲を測定します。片目15分から20分かかり、体を動かしたり、目をキョロキョロさせてはいけな
い検査なので、嫌がられる方も多いです。しかし、病気の進行の判定には欠かすことができない大切な検査で、半年から一年ごとに検査することになります。

 視野検査には動的といって、動く光で広く人が見えている範囲を検査する方法と、動かない光で視力に関係する中心30度のみを検査する方法があります。初期の方では静的で検査をすることが多く、進行した方やご高齢のかたでは動的で経過観察することが多いです。

 静的視野計の結果で、緑内障の方では、見ている中心のちょっと上、ブエルム(Bjerrum)領域といいますが、ここから障害されることが多く、これは徐々に広がり、経過とともに鼻側に広がっていきます。

 動的視野検査で全体を見てみると、初期では見える範囲は正常で、中に見えない点や見にくいところがでてきます。この時点では片目で見ても、見えないところがあるというのはあまり分かりません。中期になって、片目ずつで見ると、ここが見えないとか、見える範囲が狭いと自覚するようになります。

 そして、末期にはかなり見にくくなります。両眼とも末期になると、日常生活を送ることに支障がでてきます。

 最近ではOCT(光干渉断層計)というレーザー光線によって、網膜の厚みなどを見る検査が、緑内障の診断にも重要になってきています。

 これは中期の緑内障の方の眼底写真と、静的視野検査の結果ですが、この視神経乳頭部の網膜の厚みを見ると、緑が正常、赤が薄いところになりますが、視野障害に一致した部位の網膜が薄くなっていることがわかります。また、この症例では視野障害が起こっている以外のところも薄くなっており、視野障害の進行が危惧されるところです。

 次の症例では、何となくこのあたりの網膜が薄くなっているように見え、OCTでも視神経乳頭から黄斑部にかけて、網膜が薄くなっていました。しかし、中心30度の視野検査をしたところ、異常はでませんでした。

 患者さんも視力は(1.2)あるのですが、何となく左目が見にくいと言われましたので、普段は行わないのですが、中心10度のみ、さらに調べてみると、中心に近いところに光の感じ方が悪くなっているところが見られました。

 これまでは視野に異常がでて初めて緑内障と診断されていたのですが、OCTが普及してから視野に異常が出る前に検出される緑内障が見つかるようになってきており、より早期から治療できるようになってきています。
【 緑内障といわれたら(治療編)】
 では、緑内障といわれたらどのような治療が必要なのでしょう。
治療は緑内障の病型によって異なります。他の病気から起こってくる続発性緑内障は、最初にのべたように原因疾患の治療が第一になってきます。
【閉塞隅角緑内障の治療】
 また、閉塞隅角緑内障では、レーザーや手術という外科的治療による隅角閉塞がまず行われます。それらの治療によっても、眼圧がさがらなかった場合には、開放隅角緑内障の治療に準じて治療が行われます。

 続発緑内障の原因疾患は様々ですので、ここでは述べませんが、閉塞隅角緑内障では房水が瞳孔でブロックされ、隅角から排出されなくなっており、虹彩の後ろに房水が溜まってきて、どんどん虹彩は前に押されてしまいます。そこで虹彩の一部に、レーザー光線で小さな孔を開けてそこから房水を逃がしてあげるようにするというレーザー虹彩切開術が、まず行わ
れます。

 この方法は、目薬の麻酔だけで、切ったりすることなく治療ができ、ほとんどの場合が通院で治療が可能です。早く隅角閉塞を解除した場合には、視神経の障害なしに治癒することも可能になります。しかし、眼圧が非常に高く、角膜が濁ってしまっている場合には、光のエネルギーが虹彩まで届かなくなるため、レーザーによる治療ができなくなってしまいます。

 その場合は、白目の一部を切って、虹彩の一部を切除して、房水の流れる道を作る周辺虹彩切除術が行われます。

 また、閉塞隅角緑内障は比較的高齢者に多く、白内障を合併しているので、白内障手術は水晶体の袋だけを残し、中身を吸い出して、新しい人口のレンズを挿入します。人口のレンズは、厚みが水晶体のー/7程度のため虹彩が後ろにさがり、隅角の閉塞が解除されます。

 閉塞している期間が長いと房水の流れる道を作ったり、白内障手術をしてもくっ付いてしまって、隅角は広がりません。その場合には、くっ付いているところを剥がす手術もあります。
【開放隅角緑内障の治療】
 次に緑内障の八割をしめる開放隅角緑内障の治療です。閉塞隅角緑内障でも、隅角閉塞を解除したのちに眼圧が高い場合には、これに即して治療が行われます。

 緑内障は眼圧を十分下降させることで視神経障害、視野障害の進行を防止できるとされている疾患ですので、治療は眼圧降下です。治療開始後の眼圧が、目標眼圧に達していれば、選択した治療を継続。達していなければ、選択した治療を変更し、目標眼圧に達するようにします。

 目標眼圧というのは、あくまでも目安であって、視神経の強さは個人差があります。
大体3ヵ月〜半年後に、再度視野の検査や、眼底検査による視神経の変化を見て、視神経所見や視野に悪化があれば、目標眼圧に達していても、より眼圧を下げる治療に変更したりします。

 眼圧を下降させるといっても限界がありますので、その場合には眼圧以外の因子、例えば循環をよくしたり、神経を保護すると言われている点眼や内服の追加を行うということになります。

 緑内障の治療はこれを繰り返していくことになります。緑内障という病気は治るものではなく、うまく付き合っていく病気だということです。

 目標眼圧ですが、その方の元々の眼圧から30%下降させれば、正常眼圧緑内障であっても、視野障害の進行は5年で80%抑制できるとのエビデンス(証拠・根拠)より、それを目指して行います。眼圧は日内変動、季節変動があるため、もともとの眼圧を見極めるには少なくとも3回の眼圧測定が必要になりますが、それだけで半年〜1年かかってしまいます。

 これは新潟大学の名誉教授である岩田先生が提唱された目標眼圧の目安ですが、現状ではこれを参考にされている眼科医が多いと思われます。
NEXT  BACK
 


Copyright(C) 2017-2018 網膜剥離って何? All rights reserved.