小切開硝子体手術の強膜創の観察2

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【結果】
1. 強膜創部の観察
 眼内内視鏡を用いることにより通常の広角眼底観察システムでの観察が困難な鋸状縁よりもさらに周辺部の毛様体扁平部や突起部の観察も可能であり、トロカールを抜去した後の強膜創の観察を行うことができました。同部位の硝子体は硝子体基底部に相当し、他の部位の硝子体と比べ膠原線維の濃度が高く透明性がやや低いため、硝子体の観察は容易でした。
 さらに、硝子体ゲルの観察に用いるトリアムシノロンアセトニド(マキュエイド、わかもと製薬株式会社、東京)で硝子体ゲルを染色することにより、硝子体ゲルの視認性はさらに向上しました(図2)。強膜創への硝子体ゲルの陥頓が観察されたのは53眼中2眼(4%)で、黄斑円孔の1眼と裂孔原性網膜剥離の1眼でした。
 

   

図2

 眼内内視鏡による最周辺部眼底の観察
眼内内視鏡をことにより、最周辺部眼底(白矢印は鋸状縁)の観察が可能であり、トロカール(黒矢印)を抜去した後の強膜創の観察を行うことができました。

 通常、強膜創は自己閉鎖するため縫合の必要はありませんが、内視鏡で最周辺部眼底の観察を行った場合は、64%(34/53)で縫合を要しました。最周辺部の観察の際には、強膜創に後極部網膜に向かって挿入されたトロカールを角膜側に持ち上げる必要があり、これが強膜創に負荷をかけ、歪みを誘発し、自己閉鎖率を低下させたと推測しました。
2. 新たな眼底観察レンズの観察像
 (1)接触型広角眼底観察用レンズ(ハノラビュー)は、広角観察システム(BIOM)よりもひとつの視野でより広い範囲の眼底観察が可能でした(図3)。観察像の鮮明さは両者間に違いはなかったものの、立体感は広角観察システム(BIOM)が優っていました。

 また、わずかな眼球の回旋により観察野が欠けてしまう点に難点があると思われました。

   

図3

 接触型広角眼底観察用レンズ(ハノラビュー)による眼底観察広い視野での眼底観察が可能でした。

 

   

図4

 Truncated lensを用いた周辺部眼底の観察
像の歪みがなく、立体感にも優れており、最周辺部に残存する硝子体ゲルの処理を安全に行うことができました。

 トロカール先端部(矢印)の観察も容易で、トロカール周囲の硝子体ゲルの処理も無理なく行うことができました。

 

 
 
 (2)truncatedレンズは広角観察システム(BIOM)よりもさらに周辺部の観察が可能で、像は鮮明で歪みがなく立体感にも優れており、最周辺部に残存する硝子体ゲルの処理を安全に行うことができました。トロカール先端部の観察も容易で、トロカール周囲の硝子体ゲルの処理も無理なく行うことができました(図4)。
 
 (3)しかし、広角観察システム下の観察野と比べると視野が狭いのが欠点でした。truncatedレンズは角膜上を移動しやすいというのが特徴であり、その結果として周辺部眼底の観察がしやすくなる半面、角膜上での安定性に欠けるため、手術操作中にtruncatedレンズの位置がずれることにより、観察野のずれや視認性自体の変化が生じることが問題点でした。
【まとめ】
 本研究では4%の症例で強膜創への硝子体陥頓を観察しました。眼内照明プローブを挿入たままの状態でトロカールを抜去することが推奨されており、強膜創への硝子体陥頓が減るのではと推測されています。硝子体陥頓は術後の網膜裂孔・網膜剥離のリスクを高めると考えられており、強膜創への硝子体陥頓を減らす更なる工夫が必要であると考えます。

 最周辺部眼底の観察に眼内内視鏡は有用でした。最周辺部の観察により強膜創への負荷がかかり、強膜創の自己閉鎖は悪くなるようです。最近開発された硝子体手術用の眼底観察レンズは利点を有する半面、欠点も有しており、いずれも一長一短があるようです。観察系の改良についても今後の進歩が待たれます。(会報232号から転載)
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