眼内疾患と眼内循環障害(2)

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【虚血性視神経症】
 視神経への血液が流れなくなって、見えなくなる病気です。
動脈がつまってしまって、すぐには回復しませんので、僅かな血流で出来るだけ多くの酸素を視神経に供給して神経障害の程度を減らすべく、高圧酸素療法や視神経の低酸素による炎症などを抑制するためのステロイドパルス療法などを行いますが、中々満足できる結果は得られません。

 この様な症例にも、高圧酸素療法など即効性の治療を行いながら、血液を固まりにくくする薬を使って行きますと、少しずつ視力が回復して来る症例を経験しています。まだ経験した症例数が少なく、一般的な治療法にはなっていませんが、有望な治療法と思っています。

【中心性漿液性脈絡網膜症】
 この病気は視力に大切な黄斑部を含む眼底後極の脈絡膜から滲出液が網膜下に流出し、網膜が剥離して、物がゆがんで見え、視力も悪くなる病気です。原因は不明でしたが、第二次世界大戦中ヨーロッパ戦線で、ドイツ軍の空爆を受けた米軍兵士に多発したとして、ストレスによる脈絡膜循環障害が原因と考えられていました。最近、北海道の旭川医大から、中心窩脈絡膜循環障害が関与していることが示されました。

 一方、治療法としては、網膜下液の漏出部が視力に大切な中心窩の外にある場合はレーザーで光凝固をすれば漏出は止まって治りますが、中心窩内に漏出点があるときはレーザー治療は使用出来ず、自然に治るのを待たねばなりません 。

 私は旭川医大からの報告を見て中心窩の脈絡膜毛細血管への血流障害なら抗血小板剤で効くのではないかと考え、パナルジンと云う心臓疾患のある人が内服している薬を使ってみました。

 その結果、1週間から10日で自覚症状は少しずつよくなり、約1ヶ月で完治しました。薬使用後一時再発した人も居ましたが、現在まで5人に使用し、全員治癒しています。世界で初めての治療薬が日本で見つかり、よかったと思っています。
【多発性後極部色素上皮症】
 この病気も滲出液が一カ所でなく数力所から滲出し、網膜剥離は高度に、広範囲に生ずる重症型非裂孔原性網膜剥離の症例です。前述の中心性漿液性脈絡膜網膜症と似ており、その重症型と考えられていますので、この病気を診た時、坑血小板剤のパナルジンを使用してみました。

すると、この重症型の病気も網膜剥離はどんどん引いて行き、0.5位に低下していた視力も一ヵ月余りで1.2まで回復しました。

 この多発性後極部色素上皮症は比較的珍しい病気で、私は今まで1〜2例しか診たことはありませんでしたが、治療法を確かめたいと思っていた矢先に、他に3例も経験でき、全例とも見事に完治しました。

 特に第二例目の患者さんは女性でしたが、前医への受診も遅く、網膜剥離は広範囲に拡がって高く矯正視力は0.05でした。治療後もすぐにはよい視力に戻りませんでしたが、網膜剥離は回復し、三カ月後には1.0まで回復していました。

 この病気は難病で、よい視力は得られないと云われていましたが、よい治療法が見つかり、患者さんの為に役に立ててよかったと思っています。

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