網膜の病気〜重症化を防ぐために(2)

ホーム お知らせ 何って? Q&A 講演録 協力医訪問

 
【網膜剥離の初期症状】
 次に一番大切な初期症状ですが、飛蚊症と光視症です。
飛蚊症は、白い壁とか肯い空を見たときに気が付きやすいですね。普通の景色では気が付かなくても、このようなクリアーな景色を見たときに、飛蚊症の名の通り、蚊が飛んでいるように見えることもあるし、必ずしも蚊ではなく、いろいろな形が見えるようです。細胞のようだという方もありますし、私の患者さんで、「タコが手をつないで跳んでいる」と訴えた方がいらっしゃいました。本当にいろいろな表現の仕方があります。

 それから光視症ですが、光視症は多くの方が「白い光」があちこちにビカピカ光るように見えるとおっしゃいます。光視症は硝子体が網膜を引っ張るときに起こる刺激症状といわれています。飛蚊症や光視症が現われてきたら、要注意といえると思います。
 
 
【網膜剥離の手術】
 
 実際に網膜剥離が起きると、まず飛蚊症、光視症を感じて、そのうちに網膜の真ん中まで剥がれてくると視力が下がってきます。それから剥がれた網膜の所で見たものが歪んで見えたり、物が小さく見えたり、形が変わって見えます。それから視野欠損、これは上の方から網膜が剥がれてきますと、下の方から見えなくなってきたとおっしゃいます。

 この写真はバックリング手術です。最近あまりされなくなった手術ですが、眼球の周辺の壁にシリコンをあてるというやり方です。今では手術の使い分けがされていまして、眼球の中からする硝子体手術と、外側からするバックリング手術があります。バックリング手術は裂孔の場所によっては絶対必要なな手術法だと思っています。

 以前のように術後の絶対安静も必要なく、先日も竹内忍先生の所に手術のお手伝いに行ったとき、私が仕事を終えて帰るときには、先ほどバックリング手術をした患者さんが薬袋を持って帰っていかれました。網膜の復位が完全だったら、手術の翌日からでも以前の生活に復帰できる手術術法です。まだまだ捨て去ることのできない最高の手術法だと思っています。

 次は硝子体手術です。
このように眼球の中からゼリー状の硝子体を取り出して、空気、ガスのような気体、またはシリコンオイルといった油をいれて、網膜を内側ら圧迫して眼球の壁にしっかり押し付ける手術法です。この手術は、術後にうつ伏せの姿勢をとらなければなりません。網膜の穴が小さくて、早期に発見できればうつ伏せが必要ないバックリング手術で大丈夫だと思います。
 
 
【糖尿病網膜症】
 
 糖尿病は今どんどん増えています。世界中でもインドなどに大変増えています。日本の場合、高齢者ではなく若い人に増えているのが危倶されます。糖尿病が強く疑われる人は、平成9年に690万人、14年に740万人、19年になると890万人、約9百万人に増えています。さらに糖尿病の可能性が否定できない人となると、その数はもっと膨大です。

 ですから、40歳以上の7人に1人が糖尿病ではないかといわれています。その中で糖尿病性網膜症のある方がどの位いるかといいますと、約30%という報告があります。最近の糖尿病患者数は900万人ですから、100万から300万人もの網膜症の患者さんがいるということになります。糖尿病網膜症は末期になりますと、この写真のように網膜にひどい出血をおこしてきます。怖いのは、それまで何も症状がなく、ある日突然出血することがあるということです。

 実際私はクリニックを開いてびっくりしたのですが、糖尿病だと宣告されても眼の検査を受けに来られる方が本当に少ないのです。
最初の頃は、「内科の先生に眼科に行くように言われませんでしたか」とお尋ねすると、「言われない」というお返事でした。これは私が怖くて本当のことを言えないのかななどと思っていたのですが、最近は内科の先生が実際話していないのだろうと思うようになりました。そこで、木来ならば内科の先生がお話くださることですが、自分の体は自分で守るという意識を皆さんに高めて欲しいので、私から直接患者さんたちにお話するようになりました。

 糖尿病と言われた時点から、眼科の検査を受けることはとても大切です。必ず、眼科の診察を受けてくださいということを、これからもずっと皆さんにお話していこうと思っています。

 この写真は、糖尿病網膜症の症状のひとつ、黄斑浮腫の眼底です、視力の中心である網膜の真ん中に、むくみができた状態です。黄斑浮腫を生じると、視力が0.1以下になる方がたくさんいらっしゃいます。気が付いたら見えなくなっていたと診療所にみえる患者さんが珍くありません。視力が落ちたと思ったらとにかくすぐに眼科に行って欲しいと思います。

 黄斑浮腫に対する治療法はまだまだ少ないのですが、レーザー治療が効果を挙げることがあります。

. この写真の患者さんは、術前0.6の視力が、レーザー治療の半年後には1.0に回復しています。とにかく糖尿病網膜症を重症化させないために、当然のことですが、まず第一に、血糖をコントロールすることです。第二に、定期的な眼底検査です。眼底検査を確実に受けて的確な治療を受けていれば、糖尿病であっても、人生最後まで1.0の視力を保つことは可能であると思います。「適当な時期に適切な治療をする」ということが、いかに大切かということです。
 
 
【加齢黄斑変性】
 
 次に、これも近年注目されている疾患ですが、「加齢黄斑変性」です。最近特に増えてきました。

 これは食べ物の欧米化と関係があるともいわれていますが、1988年には失明原因の6位だったのが、2005年の報告では4位に上がってきています。

 このように最近どんどん増えてきて、某製薬会祉がチラシや新聞広告で、黄斑変性の症状などをいろいろ紹介しておりますので、ご覧になった方もいらっしゃると思います。物が歪んで見えるとか、視野の中に見えない場所があるとか、気が付かれた場合には、とにかくすぐに眼科に行くことが絶対に必要です。

 網膜剥離の場合はもちろん、すべての病気でいえることですが、両目で見ていると気が付かない場合が多いですから、時には片目で見て、それぞれいつもと同じように見えているか確認する必要があると思います。

 加齢黄斑変性に戻りますと、この写真のようにボコボコした血管の降起が脈絡膜におきてきます。

 ここから大出血をしたり、むくみを起こしたりして視力が下がってくる病気です。この症状については、最近は光干渉断層計などを使用して、確実に診断できるようになりました。治療法はいろいろありますが、まずレーザー治療、それから薬物療法があります。いくつか種類があって症例に応じた薬物を選択します。またひどい出血をおこした場合には手術をすることもあります。

 この病気も、とにかく早めに発見して早めに治療することが、良い視力を保つための一番のポイントです。

 この写真は、昔レーザー治療をうけられた患者さんの眼底ですが、このような形で病巣が固まってきています。次は薬物治療を受けられた方の写真です。小さな出血がありましたが、初期のものでした。この程度の場合は薬で大変きれいになりまして、視力も1.0近くまで回復しました。

 このように多くの病気で、早期発見・早期治療がとても大切であることを、改めて申し上げたいと思います。(会報223号から転載)
 

 要(かなめ)町やまもと眼科

 住  所 :〒171-0043 東京都豊島区要町1-8-11
                   要町東洋ビル1F        
 電  話 :03-5926-3650
 診療時間:月〜木曜日、午前9時〜12時、午後2時〜6時
        土曜日、午前9時〜午後1時
 休診日  :金曜日と土曜日午後1時以後
 H P    :http://www.yamamoto-eye.jp
 
 

BACK


Copyright(C) 2017-2018 網膜剥離って何? All rights reserved.