加齢にともなう眼の病気2

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☆網膜剥離
◎硝子体の加齢性変化
 硝子体にも加齢性の変化が起こります。新鮮な卵の白身はプルンとしていますが、ちょっと古くなった卵の白身は水っぽくなってきます。同じように、硝子体も加齢性変化によって、水の部分とゼリー状の部分に別れてきます。

 硝子体の線維はきれいに並んでいる状態から不均一な状態に変化し、濁りが生じるようになりま
す。濁りというのは、不均一になった線維が光に対して不透明になり、網膜に影を落としている状
態です。

 水晶体の濁りと違って、硝子体は常に流動していますから、飛蚊症という症状が起こります。光が眼の中に入り、濁りが動くと、影も動いて、物が飛んでいるように感じられます。視線を動かすと濁りがついてくるように感じるのが飛蚊症です。加齢性変化のない若い時は、均一な弾力のある硝子体なのですが、だんだん線維が不均一になり、飛蚊症がふわふわ浮かんできます。そして最終的にはゼリー状の部分が前に離れてしまい、後ろはサラサラした水だけが残ります。

 年齢的な変化によって飛蚊症が起こると、最初は網膜というスクリーンに近いので、濃い濁りが見えます。時間が経ってくると、濁りが前に移動して、スクリーンとの距離が離れるため、影が薄くなりますが、改善したわけではありません。

 硝子体の正常な構造が、濁りとして影を落としている場合なら、飛蚊症も心配はありません。しかし、色々な原因で眼の中に出血が起こり、飛蚊症が見える場合もあり、これには注意が必要です。

 若い人の眼球の内部は硝子体で満たされていますが、加齢に伴い、硝子体に「液化変性」が起こります。液体の部分とゼリー状の部分に分離して、ゼリー状の部分が前に萎んでくるという変化が起きるのです。そのとき網膜と硝子体にくっついているところがあると、網膜が引っ張られてかぎ裂きを作ることがあります。すると出血が起こり、飛蚊症が現れます。
◎網膜剥離の治療
 網膜に孔ができただけなら、孔の周りにレーザー光線を当てて、治療することができます。レーザーとは、眼に特殊なレンズをのせて、光を狙ったところに照射する治療です。光のエネルギーによって、孔の周囲に火傷の痕のような癩痕を作り、孔をふさぎます。こうすれば孔が広がることはなく、次のステップに進むことはありません。
 ところが、硝子体の液化した部分が、孔を通って網膜の専側にまわってしまうと、もうレーザー治療はできません。

 網膜が眼の内壁から浮き上がった状態が「網膜剥離」です。

 特に硝子体の加齢性変化にともない、網膜が硝子体に引っ張られ、孔が開いて起こる場合を「裂孔原性網膜剥離」と呼んでいます。(写真C)

 こうなると手術が必要です。孔の開いた部分に、眼球の外からシリコンスポンジを押し当て、眼の壁を中に押しこむことで、牽引力(硝子体の引っ張る力)を緩和します。

 そうしておいて、冷凍凝固で孔の周囲を固めます。瘢痕を作って水がまわらないようにすることは、レーザー治療と同じですが、こちらは凍傷を起こす点が違います。(写真D)

 最近は眼球の外側から行うのではなく、眼の中に器具を入れ、網膜を引っ張っている硝子体を取ってしまうという治療も行われています。これを硝子体手術と言います。硝子体を取った後、気体の力で網膜を押し広げ、網膜を元の位置に戻すという治療です。

 網膜に孔が開いた段階で見つかり、レーザーで固めれば、手術室に入らず外来治療で終わります。網膜が剥がれると手術が必要になりますので、「早期発見、早期治療」が大切です。

 注意していただきたいのは、網膜剥離の飛蚊症と、単なる加齢性変化による飛蚊症を、患者さんの自覚症状で区別することは、ほぼ不可能だということです。電話で相談してこられて、「大丈夫ですよね」と言われる方がありますが、眼科医としては、眼底検査をしてみないと、OKですとは言えません。十中八九は大丈夫ですが、どんなに軽い飛蚊症でも、網膜に孔が開いている可能性はゼロではありません。

 軽い飛蚊症を自覚した時に受診することで、裂孔の治療だけですみ、網膜剥離にならなかったという方は少なくありません。お仕事の都合でなかなか受診できないこともあるとは思いますが、「
早期発見、早期治療」を心がけて頂きたいと思います。

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