緑内障の臨床について(2)

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緑内障のタイプと治療
 隅角の房水流出が低下して眼圧が上がり、視神経が圧迫されて視野が欠け、さらに真ん中の視野が欠けると視力が下がるという経過で、見えなくなっていきます。

 問題なのは、視神経が傷んでしまうと、一端欠けた視野は、ほぼ元に戻らないことです。急性の場合は回復するのですが、慢性の場合は回復しません。

緑内障にはいろいろなタイプがあります。

○原発性緑内障

 原因がわかりません。多分遺伝ではないかと言われています。
これは次の二種類に分かれます。

 狭隅角緑内障〜隅角が狭い。
 開放隅角緑内障〜隅角が広い。


○先天性緑内障〜母体にいるときから眼圧が上がっているため、生まれたときから眼圧が高い状態です。大きな眼で生まれるので、牛眼と言います。これは遺伝です。

○若年性緑内障〜遺伝性で若いうちに悪くなります。

○新生血管緑内障〜糖尿病、網膜剥離の末期

○続発性緑内障〜他の疾患が起因する。

 ぶどう膜炎、べーチェツト病、シュワルツ症候群(網膜剥離で網膜が剥がれたときに、視細胞が房水に乗って隅角に流れ出て詰まる)
 
 悪性腫瘍、怪我、眼内出血(赤血球が隅角に詰まる)、シリコンオイル(乳化したシリコンオイルが泡粒になり詰まる)などの原因があります。

 また、体質的なもので理由は分からないのですが、ステロイドを投与した場合、線維柱帯にある細胞が、色々な分泌物を出して詰まり、眼圧が上がる症状があります。

 これはかなりの確率で急性になってしまいますが、ステロイドを止めれば治ります。ステロイドのリスポンダー(反応する人)は注意しなくてはいけません。

 原因の如何を問わず、急性の場合は頭痛、眼痛、吐き気が起こるため、頭の疾患と間違われて脳外科を受診し、数日後眼科に来ることが希にあります。治療が遅れると、わずか一晩で失明することもあります。

 慢性の場合は、自覚症状が無いので気づかないことがあります。何となく視野が狭い、見難い、頭が重い等で受診される方がいます。また眼底の検査等で見つかる方もいます。症状は急性以外あまり無いので、スクリーニングや検診は大切です。
【眼底写真】
 これは初期の緑内障の眼底写真ですが、視神経乳頭の外輪に凹んでいる部分があります。網膜の色が白くなり、視神経から出てくる神経線維が白くなっていて虚血、要するに圧迫されて切れているのではないかと思われます。視野を測りますと、普通は、マリオット盲点(視神経乳頭部)だけが見えないので黒くなり、他は見えているので白くなります。

 黒は見えない部分で、グレーは見難いところです。緑内障の場合は、視神経乳頭の眼底写真と対応するところがグレーや黒になって、視野が欠けているのがわかります。この方は中心部分が傷んでいないので見えるのですが、周辺部に視野欠損があります。これは三年後の眼底写真ですが、治療していても進行して、視野欠損の部分が増えています。ただし、中心視力が保たれているため、視力は下がらず失明しないで済んでいます。

 これは他の方の眼底写真ですが、出血が2ヶ所あります。視神経乳頭部の出血は、眼圧が高くなくても、かなりの程度緑内障が疑われます。まだ初期の段階で見つかったので3年くらいしても視野欠損の範囲が拡大しないで済んでいます。

 視野が欠けるというのは大変なことで「真ん中が見えれば良いじゃないか」という考えもありますが、視野が狭いというのは、日常生活に困ります。横から車が来ても見えませんし、階段を踏み外すということがあります。視野欠損を拡大させないようにしなければいけません。

【閉塞隅角緑内障の治療】
 線維柱帯を虹彩が塞いでいて眼圧が40とか50、60になり、急性緑内障発作を起こしやすいタイプです。そうなると眼科では、点滴したり、レーザーをしたり、手術をします。放っておくと、三日もかからずに失明します。狭くなっている隅角は、薬を使ったり、レーザーをしたりして広げることが出来ます。
【開放隅角緑内障の治療】
 隅角は広くて線維柱帯は出ているのですが、色々な原因で目詰まりするために、緑内障を起こします。

 房水の産生を減少させる薬や、ぶどう膜、強膜に働いて、目から水を出やすくするキサラタンという薬を点眼します。それでも眼圧が下がらない場合はレーザーで線維柱帯に穴を開けるか、手術をして別のルートを作って眼圧を下げないと失明してしまいます。

【点眼薬】
○βブロッカー(べータ遮断剤)〜房水の産生を抑える薬

○キサラタン、ピロカルピン〜房水の流失を促進する薬
【レーザー】
隅角が閉鎖している場合、虹彩に穴を開ける。以前は手術をしていたのですが、現在はレーザーで開けられますので、外来で出来るようになりました。レーザーで虹彩切開が出来るようになって狭隅角緑内障の治療が簡単になりました。
【内服薬】
ダイヤモックス:副作用があるのであまり使いたくないですが、房水の産生を抑える内服薬です。
【点滴】
 マンニットール高浸透圧薬:房水産生を抑える。薬の作用は、毛様体の房水産生を抑制するか、流出を促進するかのどちらかです。眼圧を下げるために複数の薬を併用する場合もあります。
【手術】
 今はたくさんの良い薬が出ているので、手術をしなければいけない人が減ってきました。出来るだけ手術はしたくないのですが、1日に目薬を5種類もつけるのは大変なことなので、手術に踏み切る場合があります。手術も薬と同じで、房水産生を抑制する方法と、房水の流出を促進させる方法があります。

○毛様体凝固術

 これは毛様体を破壊して房水の作成を減らし、眼圧を下げようという治療方法です。あまりやりたくありませんが、毛様体を強膜の外から冷凍凝固で冷やして焼いてしまうやり方と、レーザーを打って毛様体を壊すものがあります。

○濾過手術

 色々な術式が有りますが、隅角のところに新しいルートを作ります。

○線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)

 これをするとほぼ100%眼圧は下がります。ただ人間の身体ですので、作った穴が塞がったりするので再手術をする場合もあります。

○洞切開術(サイヌソトミー)

 線維柱帯切除術の代表的な手術で結膜の下に四角い穴を開け、結膜下に房水を流します。外に房水を漏らしますと、眼が潰れてしまったり乾燥が起ったりしますので、房水を結膜下に流します。

 結膜下に溜まった房水が静脈に吸収されます。新しいルートが出来ることにより眼圧が下がります。非常に良い手術で、数年経つと良い状態になってきます。

 以上のような治療をして眼圧を下げても、進行が止まらないタイプがあります。今後はこのような緑内障にも適切な治療法を見つけていきたいと思います。

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