網膜疾患について(2)

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2.網膜剥離について
 網膜は硝子体と脈絡膜に挟まれています。網膜の一番外側を網膜色素上皮層といいますが、網膜色素上皮層と、残りの網膜との間で剥がれるのが網膜剥離です。

 剥がれた網膜をそのままにしておいてはいけないわけは、網膜の視細胞層の働きを支える栄養や酸素は、脈絡膜の方から供給されているので、網膜が脈絡膜から剥がれると、供給も得られなくなるので、時間が経つにつれて、視細胞が受けるダメージが大きくなるためで、早く網膜を元に戻さないと重大な結果、つまり、失明にもつながります。

 網膜剥離になった場合、より良い視力を残すためにはどうしたら良いでしょうか。一般的には黄斑部に剥離がかかる前に治療することや、網膜が剥げても復位するまで時間が短いと言うのが大事てす。黄斑が剥がれていると視力が出にくい場合も多いのです。

 また網膜が剥がれたままの状態で時が経つと、増殖硝子体網膜症という増殖変化を起こすことがあります。こうなると視力の回復が難しくなります。

 また網膜剥離はなおしたものの、黄斑パッカーといって網膜の上に膜ができてくることがあり、膜によって鐵ができて、この膜を剥がしたとしても視力が出にくいといったことがあります。網膜に鐵があったり、黄斑部に浮腫があったりすると視力が出にくいのです。

 黄斑パッカーの場合は極端に視力低下が起こります。黄斑の膜をはがす手術は成功しても、0.2とか0.4とかの視力しかでないこともあります。

 網膜色素上皮細胞という、本来は網膜の裏側にあるはずの細胞が、例えば網膜に大きな裂孔ができたりすると、裂孔から硝子体の方に散らばってしまう、そして術後は網膜の上にのって増殖を始めるのが、黄斑パッカーです。

 手術する前に網膜色素細胞が多いと判断された場合は、強膜バックリングよりは硝子体手術の方が、硝子体もきれいにするので、よいという参考意見があります。
 
【二種類の手術法】
 網膜剥離の手術をするときに、強膜内陥術(掲載者注:強膜バックリング術)か、硝子体手術をするかを選択します。

 硝子体手術は網膜や硝子体に直接ふれるので、網膜に対する侵襲が大きいといわれていますが、裂孔が大きかったり、孔の数が多かったり、白内障や、硝子体出血等その他、目の中の混濁している部分を一緒に手術できるというメリットがありますし、まして増殖膜でもあれば、硝子体手術を選ぶ方が圧倒的に有利かと思います。

 強膜内陥術は侵襲が少ないので裂孔が小さかったり、数が少ない場合に適用されます。比較的若年者に多くなります。

 黄斑が剥がれている場合、強膜内陥術か硝子体手術かを選択するとき、黄斑の部分が術後どうなるか調べた外国の例を見てみましょう。

 術後1ヶ月では硝子体手術の場合、黄斑の中心部分がピッタリ元どおりに近い形に戻っているのに対して、内陥術の場合は網膜の裏側に水が残っているのではといわれています。さらに6ヶ月たっても、12ヶ月たっても、硝子体手術ではここに水はない状態ですが、内陥術の場合は6ヶ月たっても45%の人に水が溜まっているのが見られ、さらに12ヶ月経つと、11%の人には水があったが、残りの人はきれいに引いていたという報告があります。

 一概には言えませんが、内陥術の方が水の残る症例があるということがいえます。

 
3.網膜動脈静脈閉塞症
 網膜動脈か、網膜静脈のどこが閉塞するかで、呼び名が変わってきます。これは動脈閉塞症で、動脈の枝が閉塞した動脈分枝閉塞症といって、網膜は白くなっています。こうなると網膜は治療の甲斐なく、視力回復は難しいです。

 一つの症例ですが、これは網膜の動脈と静脈の交差している部分で、動脈が静脈を圧迫して起きた閉塞症です。(網膜静脈閉塞症)動脈と静脈の間に隙間を作る手術をしましたら、出血や浮腫がひけて視力の回復が見られました。
 
4.黄斑前膜症
 先ほど述べました黄斑パッカーに似ているのですが、網膜剥離などの既往症もなく、原因もなく起きてくるのに黄斑前膜といのがあります。これは黄斑の前に膜ができてしまうので、それによって起こる綴のために視力が落ちるのですが、これは硝子体手術で膜を剥がしてしまえば、視力回復できます。
 
5.黄斑円孔
 黄斑に小さな穴が開いて、視力低下が起こる症状なので、硝子体手術してガスを入れて、ガスの圧力で円孔を塞ぐといった手術になります。
 
6.加齢黄斑変性症
 血管新生黄斑症とも言いますが、一般的には加齢黄斑変性症として知られている疾患があります。黄斑に新生血管や、出血や、硬性白斑や、漿液性網膜剥離等のさまざまな状態が起こったりと、黄斑そのものに厄介な症状が出るので治療が難しいといわれています。

 この写真で見ますと、血管が脈絡膜のほうから伸びてきている状態です。本来ここには血管がないはずなのですが、この新生血管は網膜色素上皮層をつき破って、網膜の裏側に迫ってきています。網膜の裏側はなかなか治療が厄介です。

 黄斑の治療ですが、中心窩から離れている場合は光凝固ができます。中心窩に及んでいるときは手術もなかなかむずかしいので、最近は光線力学的療法といいまして、特殊な器械でレーザーを照射して治療するといった方法が試みられつつあります。

 新生血管を手術で引き抜くと、その時網膜色素上皮細胞も一緒に取れてしまうといったことが場合によって起こるので、できればやりたくない、つまり網膜の一部が取れるし、かなり痛んでしまうからです。

 特殊な治療法として、新生血管が、網膜の中心窩にかかった場合中心窩は最も大事なところなので、新生血管を潰すことは、中心窩をも痛めてしまうことになるので、こういうときは、思い切って人工的に網膜を剥離させて、いったん網膜の位置をずらして復位させると、中心窩が新生血管からずれるので、新生血管を退治できるという大胆な方法もあります。しかし特殊なので一般的には行われていません。

 加齢黄斑変性症に対する新しい治療法ができました。光感受性物質と言う特殊な薬を注射します。
全身の血管にその物質が循環している状態にして、ある一定の波長のレーザー照射を行うと、その網膜の新生血管が萎縮して失われるという治療法で、国の認可を受けています。これからの治療成績を期待しているところです。

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